文中の緑色の文字は、「愛用道具紹介」に、画像&紹介記事があります。〈 〉は記事NO.
製作記⑥はデカール貼りからボディの磨き上げまでの工程を紹介します。
小物の工作・塗装も同時進行してるんですが、ボディの仕上げに限定して作業内容を紹介した方が見やすいので。
今春の四国オー集で、たくさんの方と本当に楽しく模型話をさせていただいたんですが、その中のお一人から「HPでデカール貼りの工程の
細かい紹介をしてよ。」って言っていただきました。
先日ブログでも書きましたが、私のデカール貼りは「あの人のテクニックのココを一かじり」、「このムックの記事のこの辺を真似っこ」って感じ
で寄せ集めた適当流。
その旨をお話しして、しっかりしたテクニックと知識をお持ちの方のサイトをご覧になるようにおすすめしたんですが、
「上級のすばらしい技術とは別に、ほんのちょっとしたコツとか、基本の工程とか、乾燥や研磨の手順とか、そんな辺りを知りたいんですよ。」
とのお返事。
なるほど、その辺りの話題って、私のサイトの存在意義だよなぁ、って思います。ニュービートル製作記で一度デカール&研ぎ出しの工程の詳述を
してるんですが、2013年のコトです。私なりに進歩した所もあるかと思うので、久しぶりに丁寧に紹介してみましょう。
百も承知、って方にはクド過ぎるページになろうかと思いますけど。(Kさん、約束から3か月近く経っちゃいました)
① 実車との見比べ
模型のボディは実車をそのまま縮小した形とは限りません。また、単純に組説のデカール位置の指示が間違ってるコトも多々あります。
というワケで、可能なら実車の画像と見比べて位置決めしています。その途中で 貼り方 や 貼る順番 について気付くこともあるので結構大事。
今作で一番気になるのはこの部分。
ラインの上にゼッケンを貼り付けてあるんじゃ
なくて、一続きの白塗装なんですね。
レース当時がどうだったのかは知りませんが、
少なくとも私が見るコトのできた実車画像は
全部こうなってます。
重ね貼りにならないように工夫だぁ。
ね、重なってないでしょ。
実はこのコトに気付く前から、重ね貼りしない方が
いいな、って思ってました。このキットのデカールは
高品質で 透け は最小限です(製作記③で実験)。
でも、さすがに
「赤いボディの上に白デカールの一重と二重が隣接」
ではめちゃくちゃ目立ちますもんねぇ。
あっ、エンブレムは厚みありますね。これも発見。
うわっ、難易度メチャ高!!
腕が鳴るぜ・・・嘘です。本当は半泣きです。
塗装ではデカールと色が合わないかも。
幸い、使わないゼッケンデカールがいっぱい付いてる
ので、白い部分を使ってパッチワークですかね。
難しいコトは確かです (T_T)
ここは実車では、ゼッケンの上にスポンサーロゴ
を重ねています。
でも、模型としては上と同じ理由で、重ね貼り
しない方がいいですね。
このエンブレムはこの位置。
このロゴはこの辺。
これは重ねるデカールが赤基調なので、重ね貼りで
大丈夫。というより、これを切り抜いて重ならない
ようにするのは、私には無理ですわ。
② ボディを平滑に
デカールを貼る面は、なるべくツルツルに。ボディ色を塗り終わったら、一度クリアを吹きます。クリア層が綺麗に吹けたらそのままでもいいかと
思いますが、ユズ肌気味だったらコンパウンドをかける方が安全。今回はタミヤの青キャップで研磨しました。
缶スプレーでクリア吹き1層 → 5日乾燥 → コンパウンド。
※ボディ色の塗面がツルツルならクリアは不要かも。私もクリア省略の時もあります。
なお、今作は重ね貼りを避けるためにデカールを切るので、その練習用にコピーを準備しました。
③ 貼り付け位置のガイド
デカールが斜めになったり、センターからズレたり、連続するハズのラインがオフセットしちゃったりしたら悲しい。。。
必要に応じてマスキングテープでガイドを設置します。
気がかりなここ。
デカールのコピーをボディにあてがって、切り取り箇所の
確認をしておきます。
ここはこんな感じでOKそうです。
ガイドのスタートは
センター決め。
前から後ろまで1本で
引っ張ってテープを
貼っておいてから
3分割しました。
センターのテープに合わせてコピーを
あてがって、両脇にさらにガイドテープを
貼ります。
フロントの位置決めは完了。
同様にして
ルーフ、リヤ もガイドテープを
貼っていきます。
私、こんな風にセロテープ台にマスキングテープをセットしてます。
隣同士のテープが交錯しないように、間にプラ棒のカケラを接着して
あります。結構便利ですよ (^_^)
0.4、0.8、1、2ミリ幅の4種類です。
④ デカール貼り付け
③までできたら、いよいよデカール貼り♪ 貼れば貼るだけ見た目が大きく進むので張り合いのある楽しい工程ですね。こんな道具を使ってます。
クレオスのマークセッターは必需品。
オトナプラモを始めてしばらくした頃、MODELER’S の
デカールフィットという商品名のケミカルを購入して愛用
してました。使い切ってしまい、もう一度購入したかった
けど廃番。マークセッターが使用感近いよ、って教えて
いただいて乗り換えました。とても使いやすくて気に
入ってます♪
太・細2種のポリマー素材のヘッドもクレオス製品で、
圧着に重宝してます(商品名:Mr.クリンスティックⅡ)。
折りたたんだティッシュペーパーも必ず使いますね。
必ずぬるま湯でやってます。
作業してるうちに冷めたら、別の容器に
捨てて、保温水筒から新たにお湯を入れて
次のデカール、って感じです。
お湯は40℃ぐらい。
冷めた水を捨てる & 新たなお湯の準備 に
いちいち立たなくていいでしょ。
このデカール、白の2本のラインは
独立じゃなくて、透明な中央部分も
含めて1枚。
なので、センターのテープは
取ってしまって、両脇のガイドに
合わせて貼ります。
ボディの上に適当に水滴を置いといて、
デカールが動きやすいようにしておきます。
で、位置を定めたら、ポリマーヘッドを転がして
水滴を追い出して圧着させます。
この水滴の追い出しは超大事。しつこく丁寧に。
位置がズレてくっついてしまっても慌てず、
再度水滴を垂らして、デカールを浮かせて
やり直します。
今回のデカールは糊の状態が良好なので
水滴でしたが、糊が頼りない時はマークセッター
を置きます。効き過ぎが怖いので、水で約2倍に
希釈して使うコトが多いです。
仕上げは凹部の馴染ませ。
スジ彫りに沿ってマークセッターを塗布してから、
細い方のポリマーヘッドでくいくいと押し込んで
いきます。
力を込め過ぎずに少しずつね。
このデカール、本当に使いやすくて、この作業で
一か所も破れなかった。
しっかり馴染みましたよ。
このまま放っておいて、スミ入れで隠す、
って手もあります。でも、隠すために
過剰に濃い色のスミにするのもイヤ
なので、乾燥後にミゾの中の白は
スジ彫りタガネで削り取りました。
この時に失敗して、何か所かデカールを
欠けさせてしまった。あ~下手。。。
さあ、簡単な所で練習もできたので、
一番難しいのに行きましょう。
まずコピーを置いて、ラインのデカールを
切り欠く だいたいの位置を決めて、ペンで
書いときます。
デカールの上にコピーを重ねて固定して、
ペン書きのラインをパンチコンパス〈63〉
でカット。
ゼッケンデカールのコピーで
コンパスの半径を決めてあります。
で、まずこれを貼ってから、
ゼッケンを貼ります。
ここまで馴染ませるのは、根気よくたっぷり時間を
使いました。
うまくいった♪
前から後ろまでラインが
無事まっすぐ通った♪
気持ちいい~♪
リベットやワイパーの
ダボ穴の所はトンガリ綿棒
にマークセッターを
含ませて、ゆっくり
差し込みました。
休憩を兼ねて簡単なヤツを
貼ります。楽し。。。
ボディサイドのゼッケンに食い込ませるスポンサーロゴ。
両脇は単一半径の円(半円)なので、フロントと同じ作業ですね。
「STP」のマークは楕円形で、曲線が単一半径じゃないので、
コンパスでは切れません。
ここは楕円じゃなくて本当に助かった。。。
コピーを切ってみて、慎重に半径を決めて固定します。
で、その半径でゼッケンデカールに切り欠きを入れます。
先にゼッケンを貼っておいて、切り欠きに合わせて
スポンサーロゴを貼ればいいワケですね。
スジ彫りの所、当たり前ですが最初はこんな感じで
ミゾから浮いてます。
折りたたんでお湯を含ませたティッシュで
しばらく押さえてやるだけで、
この程度には馴染みます。
いきなりマークセッター&ポリマーヘッドで押し込む前に
こうしておくコトで、より無理なく馴染ませることができます。
今回、唯一重ね貼りしたのがこれです。
この形にラインのデカールに穴を開けるのは私にゃとても無理です。
失敗確率 95% ぐらい (^^;)
タガネでミゾの中の白を削り取っている写真です。
というワケで、デカール全部貼り終わりました。
今回の新発見。
デカールを貼った後、いつも糊成分が周辺に白くこびりついてしまいます。お湯ティッシュで拭き取ろうとしてもほとんど取れなくて、
クリアコート前に、そぉっとコンパウンドで取ってました。
今回も同様に白くこびりついてたん
ですが、何気なくこれで拭いてみたら
取れるじゃないか!!
濡らしたティッシュでは摩擦がなくて
拭えなかったけど、これの「目」が
汚れを捕まえてくれるようです。
長年困ってたコトが解決して
かなり嬉しい♪♪
ちなみにこのウエットティッシュ、ずっと愛用してます。アルコール入りじゃないので、模型にも塗面にも何の影響もなさそうで安心なんです。
研磨カスも拭くし、作業で汚れた手も拭くし、夜中になって脂の浮いてきた顔も拭く。顔拭いた後で机も拭く。
これからはデカール貼った後のボディ拭きにも必須アイテムですな (^_^)
フロントのエンブレムは厚みがあるので、同径の丸に
切り出したプラ板に貼ります。これは簡単。
ここは余りデカールの白い所を使ってパッチワークします。
これは難しい。とてもとても難しい。
まずはガイドのテープを貼ります。
真上から見た時に直線なのがキモですから。
で、デカールの合わせ目のラインがウネウネでは
パッチワークがより一層難しくなっちゃうので、
そっとデザインナイフを当ててまっすぐにしました。
塗面に少しキズ付きました。すでに失敗の予感 (T_T)
で、使わないゼッケンから白い部分を流用。
で、ちょっと見にはまっすぐ
ラインが通った状態になった
んですが、
境い目ガタガタです。
右の写真は、境目にアルティメットホワイトを筆で流した所。
ため息をつきながら考えたリカバリーの方針は
1:コンパウンドで余分に付いちゃった塗料を削り落とす。
2:軽く部分クリア。
3:またコンパウンドで段差を軽減する。
4:また部分クリア。
5:3に戻る
って感じです。
完全に綺麗になる気は全くしませんが、これぐらいしか
思いつきませんわ。
1の時に、デカールを削ってしまわないように注意しました。デカールの素性がいいので助かりましたよ。
2、3を3周してこんな感じ。
これ以上は直らないと思います。
悲しいけどここで妥協ですね。
ボディ全体をクリアコートして
磨き上げた時に、より目立たなく
なってるコトを祈って先に
進みます。
⑤ クリアコート&研ぎ出し
梅雨も明けたので、クリアを吹きましょう。
ブログ【364】でも紹介しましたが、長梅雨で焦らされたせいで、湿度の条件の悪い夕方にクリアを吹いて少しカブらせてしまいました。
幸い部分的だったし、うっすら曇っただけだったので、3日後に曇った層を2000番で擦り落としてから吹き重ねました。
クリア1層めの様子です。
クレオスの缶スプレーでたっぷりウェットに。
全体にツヤが乗りましたが、デカール段差は
まだクッキリ。
普段は30分ほど間をあけながら3層
吹くんですが、今回はカブらせてしまったので
ここで中断。
満を持して、台風通過翌日の晴天の昼間に
吹き重ねました。
写真は3層めを吹いた直後の様子です。
とろりとクリアが乗って、デカールがクリア層
に埋没してる感じ伝わるでしょうか?
角度を変えて。
中研ぎに耐えるようなクリア層の
厚みを作りたいので、スプレー3層
に決めてます。
これで晴天で5日、天候がイマイチ
なら7日ぐらい放置します。
梅雨明け猛暑続きの中、丸5日乾燥。
クリア層が痩せてデカール段差がハッキリ
してます。
で、中研ぎ。
研磨材の番手、ちょっと迷いつつ
今回は1000番にしました。
タミヤのスポンジ研磨材です。
研磨材の当たらない谷の部分
(青の矢印の辺り)はクリアのツヤ
を保って光ってるので、
それがなくなるまで削ります。
向かって右の方のように、面一に
見えるようになるまで。
全身研磨完了。
研磨カスを拭き取ると
こんな感じ。
全体がツヤ消しで、
デカール段差なしに
見えますね。
ユズ肌もなくなりました。
デカール二重貼りのこの部分も、フラットに
なったように見えます。
で、セカンドクリアを塗布。
今度はスプレー2層です。
デカール段差はなくなったように見えてた
だけで、実際はまだあるんですね。
もちろん最初よりは解消されてますけど。
これでまた5日乾燥を待ちます。
デカールを貼らない車なら、ここから
磨き上げればいいんですが、今回は
デカール段差を消したいので
もう一度中研ぎ。
今度は2000番のスポンジ研磨材です。
前回と同じく、全体がツヤ消しで、
デカール段差なし、に見えます。
で、最終クリア。
これを失敗すると磨きが面倒になって
しまうので、緊張します。
今回はボディサイドを中心に
綺麗に吹けた所と、
前後カウルの上面を中心に
ユズ肌になってしまった所が混在。。。
缶スプレー1層吹いた所で様子を見たら、
キズのコートが少し不足と思えたので、
2層目を重ねました。
ご覧のユズ肌も、なんとかラプロスで行けるとは
思うんですが。
う~ん、5台作ったら4番目ぐらいか? って
感じの失敗具合の最終クリアでした (T_T)
私は2000番の研磨キズを消すのが苦手です。3000番やラプロスの時点では消えてるのに、コンパウンドを使い出すと見えてきて、
なかなか消えてくれない。各番手での研磨を丁寧にしてみたり、水研ぎでソフトタッチにしてみたり、新品の研磨材を使ったり、自分なりには
いろいろやってきたんですけどねぇ。
なので、最終クリアで中研ぎの磨きキズは埋めておいて、仕上げをラプロスから始めることにしています。
またまた5日間じっとガマンして、
研磨開始。
まずはラプロスのグレーで水研ぎです。
一擦りして右の状態。
ユズ肌と僅かに残ったデカール段差が
見えてきます。
これぐらいまで続けます。
一度水洗いして
研磨カスを落として
ラプロスの茶色で
水研ぎします。
かなりツヤが復活して
きます。
水洗い後に今度はコンパウンド。
タミヤの青キャップです。
ポリッシャー〈52〉を付けた
ルーター〈53〉で研磨してやれば
すぐにこれぐらいツヤが出ます。
まだ小キズだらけなので、
もう一度ポリッシャー掛けして、
最後にはウエスで手磨き。
研磨キズを全部消しました。
青キャップの時点で手抜きせずに
キズを消しておけば仕上げが
ラクです。
またまた洗ってから、
最後に白キャップのコンパウンドを
同じくルーターで。
磨き残しを探して手磨きすれば
完了です。
ギラギラにツヤが出ました♪
以上、デカール貼りから磨き上げまでの工程でした。製作記⑦で完成です。